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オリジカキカキ。ごくたまには版権。コメ返しは必ず!!怖話あり(怖くない

時代は少し昔のこと。
とある村に一人の男が訪れようとしていた。
彼の名は陸道愛斗(りくどう まなと)という。
彼はある病にかかっていた。それは鬼病という。
具体的にいうと心臓に鬼が寄生して成長し、宿主の体を喰らいつくし
鬼が生まれてしまう病気だ。
愛斗は必死に隠れる場所を探していたのだが
村を目指しているというのだから厄介である。

そして一人の少女が愛斗のほうへ向かっていた。
夕飯の支度をするため山へ山菜取りに行くためだ。

彼女の名は川添心音(かわぞえ ここね)という。
歳は18歳。長いつやのある黒髪、まっすぐそろえた前髪。
大きな緑の瞳である。

楽しく山菜を取る途中山賊が現れるのだ。

「きゃ!」
「ねぇねぇお嬢さん、一人かい?」
「俺たちと仲良くしようぜ!」

突如現れたのは三人の山賊だった。
ここ頻繁に現れるようだ。三人はとても飢えている。
目つきは鋭く口はだらだらと開いていた。

「なぁ! 聞いてるのかよ。お嬢さん?」
「離して!」
「離すわけねぇじゃん。ここは何かの縁だ。たっぷりかわいがってあげるぜ」

心音は隠していた武器に手を伸ばした。そのときだ。

「そのこを・・・放せ!・・・」
「誰だ?! てめぇ!!」
「あっ・・・」
「お嬢ちゃんの知り合いか?!」

心音は思った。昔よく似た懐かしい男とよく似ていると・・・。

「はぁ・・・はぁ・・・、ぐおおおおお!!」

心臓からもれる青い炎。ゆっくりと男全体を包み込んでいく。
頭から生える角。口からはみ出る牙。巨大な体。

「そいつを放せぇーーー!!」
「ぎゃああー!! 助けてくれ!!」
「まだ死にたくない!!」
「こいつ・・・、鬼病だ!!」

山賊たちは逃げていく。
だが、愛斗の暴走はとまらない。
心音はしばらく見入っていた。
愛おしいあの人が帰ってきたからだ。

「待って、私が助けるから」

心音の背後から無数の茨。
小さい白いバラが咲いている。
無数の茨は愛斗に向かっていく。

それが巻きつき放さない。
暴れるごとに血液を奪う。
動けないことを見計らうと
心音は胸の前で印を結んだ。

「鬼はいない。ここにいない。だから元にお戻りなさい!」

人差し指と中指を添えて左手の親指を噛み切りバッテンをした。
徐々に小さくなっていく。
白きバラは彼の血をすい真っ赤に染まった。
そのまま散っていった。

「大丈夫?」
「・・・。・・・」
「本当にそっくりね。でも違う人なのね。こんな真っ白な髪見たことないわ」
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2015.02.05 / Top↑
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